平和への権利宣言(仮訳)
国連総会は、
国連憲章の目的及び原則に導かれ、
世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際規約、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、並びに、ウィーン宣言及び行動計画を想起し、
また、発展の権利に関する宣言、国連ミレニアム宣言持続可能な開発目標を含む、持続可能な開発のための2030アジェンダ、そして2005年世界サミット成果文書をも想起し、
さらに、平和的生存のための社会の準備に関する宣言、平和に対する人民の権利宣言、平和の文化に関する宣言と行動計画、かつ、この宣言の主題に関連する他の国際文書を想起し、
植民地諸国及びその人民に対する独立の付与に関する宣言を想起し、
国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならないという原則、国家は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならないという原則、国連憲章に従って、いかなる国の国内管轄権内にある事項にも干渉しない義務、国連憲章に従って、国が相互に協力すべき義務、人民の同権及び自決の原則、国家の主権平等の原則、並びに国が、国連憲章に従って負っている義務を誠実に履行するという原則を、国連憲章に従った国間の友好関係及び協力についての国際法の原則に関する宣言が、厳粛に宣言したことを想起し、
その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、または、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎み、かつ、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決するための、国連憲章に掲げられているすべての加盟国の義務を再確認し、
平和の文化のより十分な発展には、1960年12月14日国際連合総会決議1514(XV)に盛り込まれている植民地諸国及びその人民に対する独立の付与に関する宣言と同様に、国連憲章に掲げられ、かつ、国際人権規約に具体化されている、植民地その他の形態の外国による支配又は占領の下にある人民を含む全ての自決権の実現と一体的に結びついていることを確認し、
1970年10月24日国際連合総会決議2625(XXV)に盛り込まれている国際連合憲章に従った国間の友好関係及び協力についての国際法の原則に関する宣言に規定されているように、国又は領域の国民的統一及び領土保全の部分的又は全体的破壊に対して、又はその政治的独立に対して行われるいかなる試みも、国際連合憲章の目的及び原則に反することを確信して、
平和的手段による紛争又は争議の解決の重要性を認め、
テロリズムの全ての行為を深く憂慮し、国際テロリズムに関する廃絶措置宣言がテロリズムの全ての行為、方法、及び実行が、国際連合の目的及び原則の重大な侵害を引き起こすものであり、かつ、国際の平和及び安全に対して脅威となり、国の友好関係を害し、国の領土保全及び安全を脅かし、国際協力を妨げ、人権、基本的自由及び社会の民主的基盤の破壊を目的とするものであることを認めたことを想起し、テロリズムのいかなる行為も、行われたとき及び行った者のいかんを問わず、犯罪であり、かつ、正当化することのできないものであることを再確認し、
テロリズムとの闘いにおける全ての措置は、国連憲章に掲げられているものと同様に、国際人権法、難民法及び国際人道法を含む、国際法のもとでの義務に従わなければならないことを強調し、
テロリズムにかかわる国際条約の当事国となっていないすべての諸国に、当事国になることを優先事項として考慮することを要請し、
すべての者のための人権促進と保護及び法の支配は、テロリズムとの闘いに必要不可欠であることを再確認し、効果的なテロ対策措置と人権の保護は矛盾する目標ではなく、補完及び相互補強であることを認め、
国連憲章前文に掲げられているとおり、戦争の惨害から将来の世代を救い、基本的人権に関する信念をあらためて確認し、一層大きな自由の中で社会的進歩とより良い生活水準とを促進し、かつ、寛容を実行し、また、善良な隣人として互いに平和に生活するための連合国の人民の決定を再確認し、
平和と安全、開発と人権は、国連システムの柱であり、集団的安全と福祉のための基盤であることを想起し、開発、平和及び安全、人権は関連しあうものであり、相互に補強するものであること認め、
平和とは、紛争のない状態だけでなく、相互理解及び相互協力の精神で対話が奨励され、紛争が解決され、並びに、社会経済的発展が確保される積極的で動的な参加型プロセスを追求することを認め、
人類社会すべての構成員の固有の尊厳と平等で不可譲の権利への認識は、世界における自由、正義及び平和の基礎であることを想起し、平和が人間の固有の尊厳に由来する不可譲の権利の完全な享受により促進されることを認め、
すべての人は、世界人権宣言に掲げる権利及び自由が完全に実現される社会的及び国際的秩序に対する権利を有することをも想起し、
さらに、貧困を根絶し、すべての者のための持続的経済成長、持続可能な開発及び世界の繁栄を促進する世界的な取り組み、かつ、各国内及び各国間の不平等を縮小する必要性を想起し、
世界中の人民が直面する相互連関的な安全及び開発課題に効果的に対処する手段としての国連憲章の目的及び原則に従った武力紛争予防及び武力紛争予防の文化を促進する取り組みの重要性を想起し、
国の十分かつ完全な開発、世界の福祉及び平和は、あらゆる分野における男性と対等な条件での最大限の女性参加を追求することをも想起し、
戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならないことを再確認し、平和的な手段による紛争を解決する重要性を想起し、
人権及び宗教と信念の多様性の尊重を基礎とし、あらゆるレベルで寛容及び平和の文化を促進する世界的な対話を促進させる強化された国際的な努力の必要性を想起し、
紛争後の状況における国家オーナーシップ原則を基礎とした開発援助及び能力強化は、携わるすべての者を関与する社会復帰、社会再統合及び和解の過程を通じて平和を回復すべきであることをも想起し、かつ、平和及び安全の地球的規模の追求のために国際連合の平和創造、平和維持及び平和構築活動の重要性を認め、
さらに、平和の文化及び正義、自由、平和のための人類の教育とは、人間の尊厳に欠くことのできないものであり、かつ、すべての国民が相互の援助及び相互の関心の精神を持って果たされなければならない義務であることを想起し、
平和の文化は、平和の文化に関する宣言で確認されるように、価値観、態度、行動の伝統及び様式、かつ、生き方から成る一連のものであり、このすべてのことは、平和への寄与する国内的及び国際的環境によって育まれるべきであることを再確認し、
平和及び安全の促進に貢献する価値観として緩和及び寛容の重要性を認め、
平和を構築し、平和を維持し、平和の文化を強化する中で、市民社会組織がし得る重要な貢献を認め、
国家、国際連合及び他の関連ある国際機構が、訓練、指導、教育を通じて平和の文化を強化し、かつ、人権意識を保つことを目的としたプログラムへ資源を分配する必要性を強調し、
さらに、平和の文化の促進に対する人権教育・研修に関する国際宣言の貢献の重要性も強調し、
相互の信頼と理解を根底にして、文化の多様性、寛容、対話、協力を重んじることが世界の平和と安全を保証する最善策であることを想起し、
寛容とは、我々の世界の文化、表現形態及び人間の在り方の豊かな多様性の尊重、受容及び理解であり、平和を可能にし、平和の文化に貢献する美徳であることを想起し、
さらに、法の支配を基礎とした社会全体及び民主的枠組みのなかでの発展における不可分な要素として、民族的または種族的、宗教的及び言語少数者に属する人々の権利の継続的な促進及び実現は、人民及び国家間の友好、協調、平和を強化することに対する貢献であろうことを想起し、
平等な社会発展を進め、人種主義、人種差別、外国人排斥および関連ある不寛容の犠牲者すべての市民、政治、経済、社会、文化的権利を実現するために、国家、地域及び国際レベルで戦略、計画及び政策、並びに特別な積極的措置を含む適切な立法を立案し、促進し、実施することを想起し、
人種主義、人種差別、外国人排斥、及び人種主義及び人種差別に等しい場合にはそれらに関連ある不寛容は、人民と国の間の友好で平和な関係の障害となり、武力紛争を含む多くの国内紛争や国際紛争の根因となることを認め、
平和を推進する手段として、全人類、世界の人民及び国の間の寛容、対話、協力及び連帯を実践することが非常に重要であると認識することにより、自らの活動を進めることを全ての関係者らに厳粛に招請し、そのためにも、現在及び将来の世代の双方が、将来の世代を戦争の惨害に遭わせないという最も高邁な志と共に平和のうちに共に生きることを学ぶよう現在の世代が確保すべきであり、
以下のとおり宣言する。
第1条
すべての人は、すべての人権が促進され保護され、かつ発展が十分に実現するような平和を享受する権利を有する。
第2条
国家は、社会内及び社会相互間の平和を構築する手段として、平等及び無差別、正義、並びに法の支配を尊重し、実施し、促進し、かつ恐怖及び欠乏からの自由を保障しなければならない。
第3条
国家、国際連合及び専門機関、とりわけ国際連合教育科学文化機関は、この宣言を実施するための適切かつ持続可能な措置をとらなければならない。国際機関、地域的機関、国内機関、地方機関及び市民社会は、この宣言の実施を支援し、援助することを奨励される。
第4条
平和のための教育に関する国際及び国内機関は、すべての人の相互間に、寛容、対話、協力及び連帯の精神を強化するために促進されなければならない。この目的のために、平和大学は、教育、研究、大学卒業後の研修、及び知識の普及によって、平和のための教育という重大かつ普遍的な課題に貢献するものとする。
第5条
この宣言のいかなる内容も、国際連合の目的及び原則に反すると解釈されてはならない。この宣言の諸規定は、国際連合憲章、世界人権宣言、及び諸国家によって承認された国際的及び地域的文書に沿って理解されるものとする。
(翻訳:本庄未佳)